こころを支えるスペシャリスト!精神保健福祉士

精神保健分野において活躍している職業に、社会保険福祉士があります。1997年に制定された精神保健福祉士法によって生まれた国家資格の専門職が精神保健福祉士です。主に行う仕事としては、精神的な障害を抱えている方への支援やサポートを行うことです。では、精神保健福祉士とはどんな職業なのか、どんな仕事をこなしていくのかを紹介します。

精神保健福祉士とは

精神保健福祉士に求められる大きな役割の1つが精神障害者の社会復帰支援。社会で問題なく生活できるよう医療の専門家と連携してメンタルヘルスの相談を行ったり、病院外のさまざまな専門機関と連携して問題解決をしたりと、患者さんに対して長いスパンで付き合っていきます。

医師や看護師とは違い医療職ではないため、直接的な治療を行うことはありません。治療中から退院後までの相談サポートを行う立場であり、あくまでも橋渡し的なポジションです。高ストレス社会といわれる今の時代、医療保健から福祉までの領域を幅広くフォローできる精神保健福祉士は重宝される存在。将来性のある専門職の1つとして注目されています。

精神保健福祉士の仕事

支援の対象者にはうつ病やパニック障害、PTSDなどさまざまな症状の人がいます。自分の気持ちを表現できずに他者とのコミュニケーションがうまくとれず、日常生活や仕事が難しい状況にある人ばかり。精神保健福祉士の仕事はそんな人たちの悩みを聞くところから始まります。支援者から信頼してもらい心を開いてもらうには、思いやりの気持ちと人権尊重の姿勢を忘れないことが大事。相手の心に寄り添い、悩みや望みをきちんと理解することが支援のスタートラインです。それに加え、相手と一定の距離を保ちながら常に客観的な視点を持つことで適切な助言が可能になります。安心感を与えられる穏やかな態度はもちろん、どんな問題にも対処できる柔軟性、そして冷静な判断力が必要です。

精神保健福祉士になるには

心のプロフェッショナルともいえる精神保健福祉士。なるためには、国家試験に合格しなくてはいけません。国家試験の受験者数は近年7,000人を超えており、合格率は60~63%。幅広い専門知識が求められますが、養成施設できちんと学んでおけば合格をつかみとれるでしょう。養成施設にもいろいろありますが、最近は精神保健福祉士をめざせる通信制大学なども注目されています。こちらの学校は、1回15分の講義動画となっており、決められた時間で講義を受ける必要はありません。そのため、通勤中や帰宅後の寝る前など、隙間時間に講義を受けることも可能です。平日に時間がとれない方は、土日にまとめて授業を受けることもできます。精神保健福祉士をめざす場合、スクーリング授業が必要になりますが、全国の主要都市で開催されるため、必要以上に時間を作る必要がなくなります。通信授業と現場での実習を組み合わせることで受験資格を得られるため、勉強にあまり時間がさけない社会人の方にもおすすめです。

もちろん、精神保健福祉士になることがゴールではありません。そのため、就職後も勉強を続けていく必要があります。それとあわせて現場で実践を積みつつ、キャリアアップをめざしていくのがベストです。

精神保健福祉士が活躍できるフィールド

精神保健福祉士の活躍できるフィールドは広がっています。

・病院

最もポピュラーな就業先は病院です。精神科や心療内科が主な勤務先です。自他に危害を加える恐れがある場合、対象の患者を強制的に入院させることもあります。その際、措置が妥当であるかなどを判断するのも精神保健福祉士の仕事のひとつです。患者の人権を尊重するためにとても重要です。

・老人介護施設

老人介護施設なども就業先のひとつです。精神疾患の1つの「うつ病」は、30代~40代のビジネスマンに多い印象がありますが、近年では「老人性うつ」も確認されています。老人性うつの原因は人それぞれですが、相談できる相手がいないことや頼れる相手がいないことが発症リスクを高めると考えています。精神保健福祉士は、1人ひとりが豊かな老後を送るために相談や支援を行います。

・行政機関

他にも、市役所や区役所などの行政機関において、心の問題に関する専門的な相談や援助を行うことも可能です。例えば、障害福祉課や精神保健福祉センター、児童相談所などです。これらの配属先は、精神保健福祉士の知識などを活かすことができます。例えば、精神的なものに関わるサービスを利用したい方への支援や、市民の方からの相談、関係機関同士の連携・連絡調整などさまざまです。また、精神的な障害を抱える方を支える施策や事業を検討したり、多くの人々へ理解を深めてもらうための啓発活動を行ったりなど、多岐に渡る仕事を行う場合があります。相談業務に留まらず、法律などにも関われるのが、行政系の仕事です。

・司法機関

珍しい就職先としては、司法機関が挙げられます。心神喪失等、善悪のつかない状態で重大な事件を起こしてしまった方が社会復帰をするためのプログラムを組むことなどが職務内容です。リハビリ等に関係することもあるため、必ずしも司法機関でのみ働くわけではありません。

このように、精神保健福祉士の活躍できるフィールドは広がっています。ストレスが必要以上にかかる社会ですから、そういった職業が必要です。需要が高まっている職業のひとつと言えます。需要が高まっているというだけでなく、とてもやりがいのある仕事です。通信制大学を卒業することでも目指すことが可能ですから、キャリアアップや、手に職をつけて転職をしたい方など、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。